新潟から広がるアカハラ防止の声|荒木夏実さんの取り組み
大学や研究機関での学びは、本来なら自由で安全なものであるはずです。しかし現実には、アカデミック・ハラスメント(アカハラ)が存在し、多くの学生の心と学びを奪っています。研究テーマの強要、成果の横取り、無関係な雑務の押し付け、進級や卒業を脅かすような圧力――これらはすべてアカハラです。
新潟に暮らす荒木夏実さんは、自らも大学時代にアカハラを経験した当事者。現在は事務職をしながら、母として小学生の娘を育てつつ「アカハラ防止の声を広げたい」と情報発信を続けています。本記事では、荒木さんの活動とその広がりを紹介します。
荒木夏実さんとは
荒木さんは新潟在住の会社員であり、一児の母。専門的な資格を持つ研究者や弁護士ではありませんが、大学時代にアカハラに苦しんだ経験が彼女を動かしています。「自分の娘が同じ被害を受けてほしくない」「未来の学生を守りたい」という強い思いから、活動を続けています。趣味は映画と読書。物語や日常からの学びをブログやSNSに取り入れ、分かりやすく伝える工夫をしています。
大学時代に受けたアカハラ体験
荒木さんが大学時代に経験したのは、研究室での理不尽な扱いでした。
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研究テーマを一方的に決められる
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無関係な雑務を押し付けられる
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成績や卒業をちらつかせて従わせようとする
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精神的に追い詰める発言や態度
当時は「反抗すれば卒業できないかもしれない」と恐れ、声を上げることができなかったといいます。その苦しみは、学びの楽しさを奪い、心に深い傷を残しました。この体験が、現在の活動の原点です。
「アカハラ新潟ZERO」の立ち上げ
荒木さんは活動名に「アカハラ新潟ZERO」を掲げています。新潟という地域から声を上げ、最終的にはアカハラをゼロにする――そんな強い願いが込められています。発信の内容は、専門的な論文や統計ではなく、経験者だからこそ語れる「等身大の視点」です。
具体的な取り組み
荒木さんがブログやSNSで発信している内容は、学生や保護者にとって実用的で役立つものばかりです。
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アカハラの定義や具体的な事例
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被害に遭ったときに取るべき行動(記録・相談・外部機関の活用)
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保護者が知っておくべき基礎知識
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「自分を責めない」ための心の持ち方
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新潟という地方での情報発信の意味
これらを分かりやすい言葉で伝えることで、誰もが理解しやすく、すぐに役立てられる内容になっています。
新潟から広がる声
荒木さんの発信は、新潟という地域に根差しながらも全国に届きつつあります。SNSやブログを通じて共感が広がり、
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「私も同じ経験をした」
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「声を上げる勇気をもらった」
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「子どもに伝えたい」
といった声が集まっています。地方から始まった活動が全国へと広がるのは、彼女の言葉が経験に基づいたリアルなものであるからこそです。
共感を呼ぶ理由
荒木さんの言葉が響く理由は、そのポジティブな姿勢にあります。アカハラの被害を告発するだけではなく、未来を守るための希望を込めて発信しているのです。映画や読書の例を交えながら、重いテーマをやわらかく伝える工夫も、多くの人に安心感を与えています。
アカハラ防止に必要なこと
荒木さんは「一人で抱え込まないこと」が防止の第一歩だと強調しています。
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何が起きたかを記録する
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信頼できる人に話す
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大学の相談窓口を利用する
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必要なら外部機関に助けを求める
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「自分が悪い」と思わない
これらを徹底することで、被害は可視化され、声を上げる力になります。
未来への展望
荒木さんは「大きな団体にしたいわけではない」と語ります。大切なのは、小さな声を積み重ねること。その一歩一歩が社会を変え、やがて「アカハラゼロ」の社会につながると信じています。娘を含む次世代の学生が安心して学べる未来を守ることこそ、彼女の最大の目標です。
「新潟から広がるアカハラ防止の声」は、荒木夏実さんの小さな一歩から始まりました。経験者としての言葉と母としての想いは、多くの人に勇気と共感を与えています。新潟から全国へと広がるその声は、アカハラのない社会を目指す希望の灯火です。